思い出すことのできるはじめてのカブは小学生の頃、自宅に乗らずに置かれていたカブだ。エンジンが掛からなかったのはどうか定かでないが私はこれをバラバラに分解した事だけは憶えている。当時から私は機械の内部に尋常ならぬ関心を持っていたので壊れた時計や不要となった機械は必ず分解しておりこの性癖はいまだに直らない。
私がカブを実用車や道具としてでなく自分の趣味としてはっきりと意識するようになったのは20歳の頃、今から16年ほど前だ。当時私はジーンズにプレーンなシャツ等の「飾らない上質な普通」が格好いいと思っていたので、その流れでカブに関心が向いたのだと思う。当時は西武デパートが
「普通の生活」「おいしい生活」という糸井重里のコピーでキャンペーンを張っていた頃だから、自分もこうした流行に乗せられていたのだろう。その中で自分だけの「普通」を探してカブに行き着いたのだと思う。今でいうマイブームか。
はじめてカブを買ったのは、当時下宿していた文京区にあった小さな商店街の自転車屋。それは中古車としてでなく下取車として置かれていたC90だった。購入価格はたぶん3千円か5千円くらいだった様に思う。当時わたしは250ccのトレールバイクにも乗っていたが、それ以降都内の移動にはこのカブを使うようになった。
その頃である。当時毎日新聞社の発行していた今は亡き「ザ・バイク」という雑誌にカブの記事が特集された。この記事にあった「かぎりなく無趣味に近い趣味」という一文に我が意を得たりと強く共感した事を記憶している。当時もカブの流行の萌芽があったのだろうが、さすがにブレイクには至らなかった。